2020.05.28 司法試験と進路

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第5回】

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第5回】


 受験生の皆様、こんにちは。沖縄は皆様の自粛の甲斐あって、PCR検査者における感染者数はほぼ0の状態が続いています。一方で、海外からの観光客数は、復帰後最低を記録しました。沖縄の皆様の経済が復活し、また、国内・海外からのお客様が安心して訪れて頂ける沖縄が戻る日が1日も早く来ることを願うばかりです。
 さて、今回は、井上禎男先生からの熱く、温かいメッセージをお届けします!

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 私がクライアントなら、どんなに親身に“寄り添って”くれても、実績のない弁護士には依頼しません。弁護士に限らず、法曹は人に向き合い、人の一生を左右する重たい仕事です。そのための鍛練は死ぬまで続きます。


 行政法の期末試験は毎回、司法試験を念頭に置いて、おもに直近の下級審判例を題材に出題してきました。ただでさえよくわからない行政法なのに、百選に載っている判例などお構いなしの出題で、ストレス続きだったかもしれません。しかし、行政事件は百選通りには起こりません。百選掲載判例は主要な参照領域のごく一部。行政法の参照領域は膨大です。難しいのも当たり前。みなさんは“プロ”になるのですから。


 セオリー通りに事が運ぶことなど希です。効率のよい近道など絶対にありません。学者は評論家ですが、実務家はそうはいきません。心身ともに限界ぎりぎりの地道な努力を積み重ね、真に培われた実力だけを武器に、臨機応変に道具としての法律を使いこなして紛争を解決する高い専門能力が求められます。これまでの講義や演習、期末試験を通じて、必要不可欠な行政法学の知識、思考はすべて伝えたつもりです。


 みなさんには、おそらく受験するだけの力はついているのでしょう。ただ、私はあくまでも、それは「そこそこ」の力だろうと思っています。ローでの成績評価とは違い、司法試験には平常点も小テストの点数もありません。採点委員の先生方も、私と違ってかなりシビアに採点するでしょう。司法試験は受からせるための試験ではなく、落とすための試験です。しかし、諦めや楽観視は論外。過信や根拠のない自信も、厳に戒めてください。


 いずれにせよ、論文試験では書かれている内容がすべて。行政法では(も)明快な答案を心がけてください。


 他の科目に比べて圧倒的にやることが多いのが行政法。限られた時間の中での、出たとこ勝負の法解釈能力(実力)が問われます。AAの先生方も交えた演習での事例検討、仲間の答案や意見から見えてきた自分の足りなさ、気づきの大切さはしっかりと自覚できたはずです。解答に際しては、必ず条文根拠を明確に、必要不可欠な「仕組み解釈」を徹底してください。答案構成にかける時間と配点も見据えて核心を見極め、絶対に落としてはならない点を落とさずに、上手く本質を突いてください。


 過不足なく書ききる。単に不足なくではなく、過不足なく。これがこれまでの努力の集大成です。細心の注意を払い、感性を研ぎ澄ませて真摯に出題者の意図に向き合ってください。「そこそこ」の力を2倍・3倍に引き上げるのも君たち自身。本番でのみなさんの“底力”を信じています。【 井上禎男 】

2020.05.21 司法試験と進路

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第4回】 

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第4回】
  みなさんこんにちは。琉球大学では本入構禁止は解除されますが、まだまだ感染への注意は怠れない状況です。
 受験生の皆さんは、新しい日程が決まり、気持ちを新たに勉強をしている日々だと思います。今日は、宮城哲教授からの応援メッセージを掲載します。詳細なアドバイスをしてくださっています。受験生の皆様必読です。


琉球大学法科大学院の修了生の皆さん


 今年度の司法試験の日程が決まりました!8月12日の試験開始まで、本日(5月21日)から12週間です。


 皆さんのやるべきことは、絶対今年合格するという強い気持ちをもって、残された時間で何をやるべきかを冷静に考え、やるべきことをやるだけです。


 何をやるべきかなどについてご相談いただければ、個別に相談に応じますので、遠慮なく連絡ください。ここでは、残された時間をどのように過ごすか、一般的なアドバイスをさせていただきます。


 合格に必要なことは、これまで授業やゼミ等でアドバイスしてきたとおり、司法試験で試されている法曹になろうとする者に必要な学識と応用能力を身に付け、かかる学識と応用能力を有していることが伝わるような答案を書くことなので、あらためてどのような学識と応用能力が試されているのか確認したうえで、もし不足している点があれば補いつつ、常に本番で答案を作成することをイメージしつつ、問いに答える中で法曹になろうとする者に必要な学識と応用能力があることをどのように伝えればいいかを考えながら学修してください(本番当日に自分の能力のピークをもっていくことをイメージし、本番に近づけば近づくほど知識よりも書く能力を磨くことを重視するといいと思います。)。


 本番で力を発揮して合格するためには、体調管理も重要ですし、受験環境を整えることも必要です。体調管理や受験環境を整えることは、勉強することに負けないくらい大切なことだと考え、食事や睡眠時間をおろそかにせずに、受験環境整備ための情報収集や準備等にも一定の時間をかけていいと思います。


 最後に、毎年受験生に送っているメッセージも記載しておきます。とにかく残された時間を大切に頑張って下さい。


〇琉球大学法科大学院の修了生は司法試験に合格できる力は十分持っています。大切なのは,絶対に合格するという強い気持ちとどうやって合格点をとるかという冷静な戦略です。これから本番に向けて次のことに気をつけてください。



➀絶対合格するという強い気持ちを持ち,試験前や試験中に何が起ころうがそれを言い訳にせず,最後まで合格をあきらめず全力を尽くしてください。

②本番で失敗はつきものです。多少失敗しても合格できるので,ミスを引きずらず,すぐに切り換えて次やるべきことに集中しましょう。

③論文式試験は,まずは問いに答えることが大切です。考えたことのない問題や難しい問題も出ます。しかし,それは応用力を試しているのであって,知らないのは当然であり,正しい答えもありません。問題文をよく読み,問いに答える過程で,問題となっている条文・判例等の基礎的知識があることを簡潔に示しつつ,応用問題では事案に即した悩みをみせて条文や判例の趣旨から法律家らしい一応の思考ができることを示せれば十分合格できます。とにかく条文と事実を重視し,問いに答えることが大切ですので,そのことを忘れないようにしてください。

④短答式試験は,満点を取る必要はないので,解らない問題に時間をかけず,解る問題を確実に正解することを心掛けるといいと思います。

⑤合格の可能性を高めるためには,勉強以外のことへの配慮も重要です。感謝の気持ちをもって生活し,特に体調管理等には最善を尽くしてください。

皆さんの合格を心からお祈りしています。〔宮城 哲〕
2020.05.10 司法試験と進路

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第3回】

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第3回】 教員からのメッセージ第3回になります。今回は、吉崎敦憲先生です!
【激励文】吉崎敦憲教授 司法試験本番に向けて調整をしてきたのに,その実施が延期され,いつ実施されるかも未定の状態で,調子とモティベーションを保つのが大変なのは,痛いほどよく分かります。暇つぶしにもならないかもしれませんが,1つ物語を紹介します。先輩たちも皆,乗り越えてきた道です。皆さんに精一杯のエールを送ります。心強く,頑張って下さい。
【司法試験あるある物語】
むかしむかし,とは言っても今からせいぜい数十年前,日本にはまだ法科大学院がない時代,今では「旧試験」と呼ばれる司法試験が,「旧」とか「新」とか「現行」とか呼ばれず,単に「司法試験」と呼ばれていた時代のことじゃ。当時の司法試験は,1次試験(教養科目)と2次試験(法律科目)で構成され,学部で教養課程(通常1・2年次)を修了し,その修了証明書を願書とともに提出すれば1次試験は免除され,2次試験のみ受験すれば良かったそうじゃ。それゆえ,学部3年次から多くの法曹志願者が現役合格を目指して受験したそうな。とはいっても,3年次から受験しようと思うのじゃから,大学に入学した時から準備をしなければ間に合わず,1年次から受験勉強を始めている学生が大勢いたそうじゃ。司法試験合格者数は,昭和36~7年頃から平成2年まで500人前後に固定されていたのに対し,出願者数は昭和45年に2万人を超えた後は2万人を下回ることはなく,合格率は1.5~2%台が20年以上続き,非常に狭き門じゃつた。2次試験は,5月中に憲・民・刑の短答式試験1日,7月中に7科目(憲・民・刑・商・訴訟法1科目(民訴・刑訴いずれか選択)・法律選択科目1科目・教養選択科目1科目)の論文式試験3日間,10月中に同じ7科目の口述試験7日間で,実施されたそうじゃ。学部3年次の20歳で最年少合格する者から,苦節20年で合格する者まで,合格者平均年齢28~9歳の狭き門を何としてでも突破しようと,法律実務家を目指す受験生が青春と人生をかけて学修に励んだそうじゃ。5月末の短答式試験の合否発表で「不合格」となれば,論文試験を受験できないという苦汁をなめながら,11か月後の短答式試験突破を目指して,新たなスタートを切ることになり,それを何年も繰り返す者が少なからずいたそうじゃ。他方,毎年,短答式試験には合格し,冷房装置を稼働させない試験会場で滝のような汗を流し痩せ細りながら論文試験を受験しても,9月末の合否発表で「不合格」となり,それを何年も繰り返す者もまた少なからずいたそうじゃ。彼らが,そんなに苦労してでも司法試験の合格を目指したのは,法律実務家になって,世のため,人のために役に立ちたいという高い志を実現したいと願ってのことじゃ。そして,強い強い強~い心でその困難を乗り越えた者は,いずれの日にか合格を勝ち取って,世のため,人のために働く法律実務家となり,幸せに暮らしたそうな。めでたし,めでたし。

2020.05.05 司法試験と進路

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ 第2回】

 緊急事態宣言が延長され、まだ司法試験の日程も決まっていない中、モチベーションを保ち続けるのは大変だと思います。そこで、私達琉球大学法科大学院教員は、毎週、皆さんにメッセージを送ります。 

 第2回は久保田光昭副研究科長のメッセージです。 

 新型コロナウイルスの流行により、先の見えない不自由な生活を余儀なくされていることと思います。しかし、人間は逆境においてこそ真価が試されるものです。「一を以て之を貫く」の精神で頑張ってください。応援しています。

2020.04.26 司法試験と進路

【琉球大学法科大学院修了生の司法試験受験生の皆様へ】 

 皆さんこんにちは。司法試験が延期になり、沖縄県でも緊急事態宣言に伴う休業要請で大学が閉まってしまい、自習室で勉強することもできなくなってしまいました。司法試験は結局いつになるのかもわからず、なかなかモチベーションを保つのも難しいと思います。 

 そこで、琉球大学法科大学院では、教員が定期的に皆さんにメッセージを送ることにしました。今日は、武田昌則教授から皆さんへの力強いメッセージです。 

 悩んだり、困ったりしていることがあったら、いつでも教員に連絡してください。オンラインでの面談等ももちろん可能です。


【琉大法科大学院修了受験生に告ぐ】武田昌則
司法試験延期という未曽有の大波乱。しかし、大波乱とはすなわち下克上の絶好の機会でもある。つまり、この大波乱はチャンスでもある。ただし、下克上を実現するには、短答式の足切りをクリアしなければならない。ここは落ち着いて、もう一度、間違えやすいところ、苦手なところを、丹念にチェックして、知識の正確性を高めていこう。そして、免疫を高め、健康を保つこと。危機の中で、チャンスをつかめ!